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  • 執筆者の写真たがのりか

鳥獣被害の現状と対策について

1月24日に、「令和5年度 雲南地域議会議長連絡会 議員研修会」が開催され、雲南市・奥出雲町・飯南町の共通の課題である「鳥獣被害の現状と対策について」、島根県中山間地域研究センターの坂倉健太さんに学びました。



まず、動物について知ることが大切とのこと。

猿は、夜寝て昼間に活動するが、イノシシは四六時中活動しているなどの特徴を捉えて対策することが大事。


また、鳥獣害とは、野生動物による農作物の被害のこと。捕獲が目的ではなく、農作物の被害をどう守るかが重要。捕獲だけ推し進めてもなかなか被害は減少しない。総合的対策をバランス良く行う必要がある。


総合的対策
1.野生動物が嫌がる環境を作る
2.田畑を効果的に囲う
3.適切な捕獲を行う

現在、島根県では、イノシシの被害が1番多く、水稲への被害が甚大とのこと。

また、農作物以外の掘って土壌をぐじゃぐじゃにするという被害も多い。

今回、イノシシの被害を減らすことを中心に習った。

イノシシの特徴
・夜行性だと思われがちだが夜行性ではない。本当は昼動く動物だが、警戒心が強く、慎重な性格なので、人がいない夜に行動することもある。(四六時中動く)
・汗をかかないので、ドロ浴びが好き。体を冷やしたり、寄生虫をおとしたりする。木にこすりつけた跡があれば、イノシシがいるかも。
・オスは単独で過ごし、メスは子どもや姉妹からなるグループで過ごす。
・メスは満2歳から毎年1年に1回、4~6月頃に、4~5頭の子どもを産む。50%くらい死ぬと言われているが、人里で過ごしているイノシシはエサが豊富にあると生き残りやすい。
・うりぼうは、最初お乳を飲んでいるが、お母さんが食べているものを食べるようになる。ミミズが好きと思われがちだが、ミミズが好きなわけではないので、お母さんが食べていなかったり、他に美味しいエサがあったりすれば、食べない可能性がある。
・子を失った母親は、秋頃にもう一度出産をすることがある。ワナで子どもだけ捕らえても数が減らないので、親も捕らえる必要がある。
・学習能力が高い。
1.野生動物が嫌がる環境を作る

人里は、エサが豊富で繁殖しやすい。厳しい冬でも子どもが生き残り、2年後には繁殖に参加することになるので、まず、人里で食べさせないことが、イノシシの数を減らせることになる。

→収穫しない2番穂や野菜くず、放置された果樹をなくしていく。


侵入経路を断つ必要がある。草藪や竹林が良い隠れ場所になってしまっている。

→集落で協力して山際の草を刈る。


2.田畑を効果的に囲う

臭いや音、光などの対策グッズは、最初は効果があっても、必ず慣れてしまうので、長期的な効果はない。効果的に田畑を囲むことが大事。


必ず全面囲むこと。水路などにスキマが出来やすいので、注意。


ワイヤーメッシュが基本。10㎝格子の正方形のものが効果的とのこと。地面にきちんと突き刺すこと。柵の周りの草刈り大事。


電気柵は効果あるが、これも使い方が大切。柵の線の高さを動物によって合わせる必要がある。イノシシは、20㎝と40㎝が効果的。24時間、365日通電しておく必要がある。コンクリートの際に設置すると電圧が下がるので、50㎝は離す必要がある。また、電気柵の周りは特に草刈り必須。防草シートも有効。


設置してからの点検が大事で、イノシシとの知恵比べになる。


※シカ対策だと柵の高さが2メートルくらい必要になるかも

※サル対策はワイヤーメッシュの上に電気柵をすると良い。


3.適切な捕獲を行う

やみくもに捕獲しても、被害は減らない。個体数調整のための捕獲でなく、被害を少なくするための効果的な捕獲をする必要がある。山の中のイノシシではなく、人里に慣れてしまったイノシシを捕獲すること。子どもと母親はセットで捕獲すること。


地域ぐるみの鳥獣対策が必要。誰か一人が頑張るではうまくいかない。みんなで、同じ話をしっかり聞いて、勉強し、同じ方向を向いて、それぞれが出来ることを協力して行うこと。



本来の目的は、「被害を減少させ、農家が笑顔になること」を忘れないようにしなければいけない。


前回の鳥獣被害防止対策はこちら


#研修会 

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