諮問第3号は、賛成多数で可決されました。
写真:島根原発2号機視察
諮問第3号
「『島根原子力発電所周辺地域住民の安全確保等に関する協定』に係る覚書」に基づく回答につき意見を求めることについて
反対討論 (多賀法華)
原案に反対する立場で、討論を行います。
この原案は、島根原発2号機の再稼働容認という趣旨であります。
万が一のことがあった場合に、特に影響が大きいのは、19歳未満のお子さんになります。私は、原子力に関する説明会や意見聴取が、子育てをしている保護者世代、また保育事業所の方に不足していて、賛成反対の判断をできる時期ではまだないと考えます。
今年の1月27日、東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質により小児甲状腺がんを発症したとして、事故当時、福島県内に住んでいた6歳~16歳の男女6人が、東電に計6億1600万円の損害賠償を求める裁判を東京地裁に起こしました。原告弁護団によると、住民が被曝による健康影響を理由に損害賠償を訴える集団訴訟は初ということでした。
最年少は高校生。事故当時は幼稚園の年長さんでした。中学生の時に手術を受けたものの、再発し、2度目の手術を受けました。6人のうち、4人ががんの再発を経験しています。また、中学生の時に被ばくした原告は、4回もの手術を受けています。放射線ヨウ素を服用する「アイソトープ治療」を経験した患者も4人にのぼります。
進学や就職でも数々の困難を抱え、大学を中退せざるを得なかった原告もいます。
原告からのメッセージをYouTubeで聞きました。
(以下文字におこしていますが、実際のYouTubeを見ていただけたらと思います。)
今日は裁判当日ということですが、残念ながら私は仕事で参加できませんでした。代わりに母が色々と語ってくれたと思います。
私一人では裁判をしようとは思わなかったので、
弁護士の先生方をはじめとする関係者の皆様にはとても感謝しています。
長い道のりにはなると思いますが、共に戦っていきましょう。
私は2回甲状腺の手術を受け、まだ完全に治療は終わっていません。
今は精神面、体調面で不安定になることが多く将来がとても不安です。
結婚や出産に関しても同様です。すごくネガティブになっています。
今回の集会にいけなくて本当に申し訳ありません。
これからの人達のさきがけになれるよう、私たちの裁判を応援してください。
私は高校生の時に甲状腺がんと診断され、手術を受けました。
しかし、その後の通院で再発していることが解り、遠隔転移もあります。
今の段階では完治することは極めて難しい状態です。
将来がとても不安で結婚など先のことはまだ考えられないです。
この裁判がすこしでも他の甲状腺がんの皆さんの力になれたらと思います。
私は大学二年の時に手術を行い、甲状腺の片方をとりました。
手術が終われば健康になれる、そう思っていましたが、
がんと診断され手術を行ったあとも、体調がすぐれず、
現在チラージンを服用しています。
再発や転移への不安や結婚や出産などの不安もあります。
この10年は復興のながれが強まり、声を出すことさえも、
差別をおそれ、声をあげることができずにいました。
しかし、時効を迎えては、もうどうにもなりません。
私たち以外の苦しんでいる子ども達のためにも、
私たち6人が声をあげることでこの状況を少しでも変えたい。
そんな気持ちでこの裁判に挑んでいます。
少しでも良い状況になれることを心から祈っています。
私は、福島事故当時、中学2年生14才でした。
現在は社会人3年目を終えようとしており、年齢も25才になります。
私は、20才の時に初めて甲状腺がんの手術を受け、現在にいたるまで、
四回の手術を経験しました。
また昨年末には、放射線治療も受けており、現在経過観察中となります。
私はこの裁判をとおし、
福島原発事故と私たちの甲状腺がんの因果関係を明確にすることで、
今後安心して暮らせる社会保障の充実とまだ声をあげられていない
甲状腺がんに苦しむ方々のすくいのきっかけになりたいと思っております。
そのためにもみなさんのご協力、ご支援が必要です。
どうかお力添えいただきますようお願いいたします。
私はがんですと診断されたあと、この甲状腺がんと福島の原発事故の因果関係はありませんとはっきり言われました。
その時のなんとも言いがたい気持ちと母の涙は忘れられません。
がんと診断される前は、東京にあこがれ、自分のやりたい仕事についてバリバリお仕事をしているキャリアウーマンにあこがれていました。ですが、がんと診断され、手術を行ったあとも、体調がずっとすぐれず、何事も体調優先していかなければならない状況となり、一度はやりたかった仕事につきましたが、体調を考慮し、その仕事をやめ、今はあまり動かず、定時で帰れる事務のお仕事をしています。今回の裁判では、原告の6人のうち、4名は再発、転移をしています。やはり私と同じく、行きたい大学や就きたい仕事は諦めた人、がんということを理由に正社員として雇ってもらえず、苦しんでいらっしゃる方もおられます。また、私たちは、震災当時もあった避難者に対する差別があったこともあり、この事実を人に話すことで、差別をうけるのではないかと恐怖を感じ、誰にも言えず、この10年間を過ごしてきました。私たちと同じ状況の子ども達が約300人います。私たち以外の苦しんでいる子ども達のためにも、私たち6人が声をあげることで、この状況を少しでも変えたい。そんな気持ちで、この裁判にいどんでいます。少しでも良い状況になることを心から祈っています。また、最後にこのように私たちを支えている人がいることは、私たちにとって、すごく大きな励みとなっています。支えてくださっている方、また弁護士の皆さんには、心から感謝しています。
小児甲状腺がんは通常、発症数は年間100万人に1~2人程度とされています。福島県の県民健康調査などでは、事故後から昨年までに約300人が甲状腺がん、またはその疑いと診断されましたが、福島県の県民健康調査検討委員会では被ばくの影響は考えにくいという趣旨の評価がされています。
無症状の人たちを対象にした集団検診によって、発見しなければ一生症状が出ず、生命や健康を害することがない、治療の必要がなかったはずの病気を発見することになる。
これを「過剰診断」というようですが、もし、そうであれば、万が一の時に、集団検査をするのかどうかの課題もあります。
健康影響だけでなく、風評被害の加害者と言われたり、差別されたりすることを恐れ、10年誰にも言えなかったと精神的な苦しさはどれほどだったことでしょう。
あの時、、、という保護者さんの後悔の声も書いてある新聞記事がありました。
こうして今なお苦しんでいる子達がいる状況があることなども含めて、保護者の方への説明は丁寧にすべきです。
保育関係者の方も不安です。
安定ヨウ素剤が県から保育園に届いたとき、小さい子どもたちにリスクを背負わせながら原発の再稼働が本当に必要なのかということを思いました。
園にいるときに事故が起きれば、飲ませるのは私たち。子どもたちの未来まで私たちは責任をもつことができるのか。
本当に避難しなければならなくなったとき、保護者の迎えがない子どもたちは私たちが県外まで連れて行かなければならない。そんな不安を常に抱えながらの、今はコロナの不安もかなりあり、保育は心労です。子どもたちの今、そして未来を守るのは、今の大人、私たちです。
安定した電気の供給をもっと別の視点から考えられないでしょうか。需要を減らすとか。
今、生活が電気無しではできないことになってきており、無理な考えかもしれませんが、今なら間に合うと思います。
立ち止まって考えて実行することに賛成します。
というメッセージをいただきました。
子育てするなら雲南市。
ならば、私は、前回の陳情の賛成討論でも言いましたが、やはり、きちんと、保護者さん、保育関係者さんにまずはしっかりと原発の必要性の理由、メリット、デメリットについて説明し、不安のないよう意見交換をするべきであると考えます。
雲南市は、Iターンの子育て世代の方に選ばれる市を目指しています。
うんなん暮らし推進課でも、真摯に原発の30キロ圏内と圏外の場所があって、避難計画はできていること、万が一何かあれば、広島や岡山に協力してもらって避難出来ること、安定ヨウ素剤のことなど伝えていかなければなりません。住んでから聞いてなかったと不誠実な対応をされたと思われてはいけません。
そうしたことを踏まえると、もう少し時間をかけて説明をした後に、賛成反対の判断をすべきと思います。
まだ島根原発は工事中です。
雲南市は、コロナと災害で時間をさいてきました。
もう少し時間が欲しい。
雲南市は、子どもたちの安全を第一に考えて、
きちんと子育て世代、保育関係者に説明してから
賛成か反対の表明をしたい、と、訴えることはおかしいことではないと考えます。
雲南市へ、Iターン希望の方への説明の仕方も考えないといけません。
また、今、原子力規制委員会で、原子力災害対策指針の改正で、甲状腺被ばく線量モニタリングが追加で入る予定で話し合いがされています。福島の事故で甲状腺被ばくの測定が不足していたためです。1月27日から2月25日までパブリックコメントの募集がされ、3月23日に改正案が出され、そう遅くならないうちに改正があると確認しました。こちらの改正がなされて、説明を聞いてからでも遅くはないのではないでしょうか。
陳情賛成の討論から何度も言いますが、まずは、必要性とリスクなど丁寧な説明をお願いしたい。そして、不安に思うところについて意見交換をすることが大切です。
再稼働に賛成か反対かはそれからのことであると私は考えます。
以上で、私の反対討論を終わります。
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